特集2:中国規制改革の展開

常態化する米中対立で進むデカップリング
-懸念される日本企業への影響-

関 志雄 

要約

  1. トランプ政権の時代から始まった米中経済対立は、バイデン政権になってからも続いている。米国は、対中「デカップリング」(分断)を目指しており、主な手段として、(1)貿易規制の強化、(2)対内・対外直接投資への規制強化、(3)通信業を対象とする規制強化、(4)半導体関連の対中輸出規制の強化、(5)金融分野への規制強化、(6)産業政策の強化、(7)同盟国との提携強化を進めている。
  2. 米国の攻勢に対して、守勢に立たされる中国は、長期戦に備えて、(1)貿易規制の強化、(2)対内直接投資への規制強化、(3)サイバーセキュリティとデータセキュリティの強化、(4)制裁に対応するための法整備、(5)輸出市場の分散化と「一帯一路」構想の推進、(6)産業政策と「双循環戦略」の推進に取り組んでいる。
  3. 米中のデカップリングを象徴するように、中国は、米国にとって最大の貿易相手国から、メキシコとカナダに次ぐ第三位に落ち込んでおり、対米直接投資も大幅に減少している。日本が米国に同調して中国けん制に積極的に乗り出したため、日中デカップリングの兆候も現れ始めている。