特集2:中国規制改革の展開

中国における公募基金管理人制度の確立
-証券会社による公募基金管理業への進出促進策-

宋 良也

要約

  1. 中国証券監督管理委員会(証監会)は2022年5月に、公募基金管理人制度を規定する「公開募集証券投資基金管理人監督管理弁法」を公布した。その狙いは、公募基金管理人として公募基金管理会社以外の資産管理機関の参入を促し、多様性を伴う形での、公募基金管理業の発展を目指すことにある。
  2. 今般の管理弁法では、公募基金管理会社の支配株主(持株比率50%以上)である証券会社が傘下の資産管理子会社を通じて公募基金管理人資格を取得することが認められた。公募基金管理会社の株主になるための資格要件は厳格化された。また、外資の金融持株会社による中国国内の公募基金管理会社への出資が容認された。
  3. これらを受け、証券会社による公募基金管理業への進出方法としては、傘下の資産管理子会社を通じた公募基金管理人資格の取得が主流となりつつある。また、証券会社が既に公募基金管理業務ライセンスを保有する場合、公募基金管理業務を継続するべく、同ライセンスを資産管理子会社に一本化する動きもある。
  4. 中国における証券会社は今後、投資一任サービスや「口座型」個人年金分野において、公募商品を活用した資産管理業務の多様化を図っていくことと想定されよう。また、金融持株会社が公募基金管理会社の主要株主となることが認められたことは、外資系金融機関の参入にもプラスと考えられる。