特集:金融商品の新たなフロンティア

米国ETF市場の競争環境と次のフロンティア
-アクティブ型ETFとダイレクト・インデックス-

関田 智也

要約

  1. 米国の上場投資信託(ETF)市場は、順調に拡大を続けている。同市場の大部分がインデックス型の商品で占められている一方、近年では、プレーンバニラなインデックス型運用では捉えきれなかったニーズに応える金融商品及びサービスの拡大が観察されている。
  2. まず、アクティブ型ETF市場の拡大が鮮明になっている。アクティブ型ETFは、日中流動性や透明性といったETFの利点を維持しつつ、特定の指数に連動する値動き以外の運用成果を目指す金融商品である。
  3. また、ダイレクト・インデックスと呼ばれるサービスへの注目も高まっている。ダイレクト・インデックスは、セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)において、特定の指数の構成銘柄のうち一部、または全部を買い付けることを通じて当該指数に連動する値動きの確保を目指しつつ、ポートフォリオのカスタマイズやリバランス等の調整、節税効果を享受するための取引等を行うサービスである。
  4. アクティブ型ETF及びダイレクト・インデックスは、米国においても発展途上の段階にあり、これらが資産運用業界の大きな潮流に繋がるかは未知数である。しかし、投資家に新たな付加価値を提供し得る商品・サービスが台頭していることは、米国同様に手数料の低下トレンドに直面する日本の資産運用業界にとっても、注目に値しよう。