金融・証券規制

米国におけるインデックス・プロバイダーへの投資顧問規制の適用を巡る議論

岡田 功太

要約

  1. 近年、米国では、インデックス・ファンドの巨大化やインデックスの種類の多様化が進展している。そうした中、米国証券取引委員会(以下、SEC)は、2022年6月にインデックス・プロバイダーなどに対する投資顧問規制の適用に係る意見募集を開始した。
  2. SECによると、インデックスには市場参加者の投資意思決定を後押ししている側面があるため、インデックス・プロバイダーは投資顧問業者の定義を充足しているという。また、インデックス・プロバイダーと市場参加者との間に潜在的な利益相反があることを踏まえると、インデックス・プロバイダーは投資顧問業者として顧客の最善利益を追求する必要があるとしている。
  3. 市場参加者は、インデックス・プロバイダーに投資顧問規制を適用した場合、インデックス・ファンドの投資家に追加的なコストを負わせる可能性があるとして反発している。米国投資会社協会は、インデックス利用に係る手数料体系の透明化・簡素化を通じて、利益相反を抑止し、インデックス・プロバイダー間の競争を促すべきと提言している。
  4. 日本においても、インデックス・プロバイダー間の競争は徐々に活発化している。今後、日本のインデックス・プロバイダーが資産運用業界において存在感を増していくのか、その際に日本のインデックス・プロバイダーに対する規制枠組みを見直す必要性が生じるのか、米国における議論の動向は、その先例として注視していくべきであろう。