特集1:自然資本の計測と開示の展開

自然分野の科学に基づく目標設定方法を公表したSBTN
-TNFDの開示枠組と連携-

林 宏美

要約

  1. 自然資本分野における科学的根拠に基づく目標設定方法の開発を行っているグローバルなイニシアティブ、「科学に基づく目標ネットワーク(SBTN)」は、2023年5月24日、自然資本に関する科学に基づく目標(自然SBTs)設定に向けた技術的なガイダンス等を公表した。SBTNが対象とする自然は、淡水、土地、生物多様性、海洋、気候まで含み範囲が幅広い。
  2. 自然SBTsの設定プロセスは、1)評価、2)解釈および優先順位づけ、3)計測、設定および開示、4)行動、5)追跡の5段階とされている。このうち、1)~3)までの段階に関する技術的なガイダンスならびにマテリアリティ評価ツール等が今回公表された。
  3. SBTNは、2023年9月に開示枠組(v1.0)が公表された自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)とも密に連携している。SBTNは、TNFDで専門的見解を提示するナレッジパートナーに含まれているうえ、TNFDの枠組を用いて企業が設定する科学に基づく目標はSBTNガイダンスへの準拠が推奨されている。さらに、企業が設定した目標の妥当性を認定する機能もSBTNが担う。
  4. 2024年には、各企業による目標設定プロセスの進捗状況について、SBTNが開示するダッシュボードにて閲覧することを可能とすることも想定されている。そのため、投資家等が自然分野における企業間の比較をすることも容易になる見通しであるものの、投資判断材料として活用されるまでには、まだ時間が必要であろう。TNFDの最終化と相まって、開示情報を活用する動きにも目を向けたい。