ESG/SDGs

親子上場の状況(2022年度末)
-16年間で半減、今後は公開買付制度見直し議論にも注目-

西山 賢吾

要約

  1. 野村資本市場研究所が調査した2022年度末(2023年3月末)時点での日本の親子上場企業数は209社となり、16年連続で前年度末比で純減となるとともに、親子上場企業数が最も多かった2006年度末に比べ半減した。
  2. 2021年度末は東京証券取引所による市場再編への対応などもあり29社の純減となったが、2022年度末はその影響がほぼなくなったため、純減数は10社となった。その中で、グループ企業戦略の見直しによる親会社の上場子会社売却に伴う親子上場の解消は前年度末並みであり、完全子会社化と並び親子上場解消の手法として定着した感がある。
  3. 親子上場企業数がピークであった2006年度末は、電気機器と小売業がともに40社と情報通信業(60社)に次いで2番目に上場子会社の多いセクターであった。しかし、2022年度末では、電気機器は8社まで減少した一方、小売業は32社であり、両業種における(上場)子会社戦略の違いが明確に現れた形となっている。
  4. 企業グループ全体としての競争力強化の必要性は今後も高い状況が続くと見られるため、親子上場の見直しは継続が見込まれる。さらに、現在議論されている公開買付制度の見直し議論の中で、全部買付の義務化など欧州型の規制への転換が打ち出された場合には企業の(上場)子会社戦略にも影響を与えることが想定されるため、議論の動向に注視したい。