ESG/SDGs

米国民主党政権下のSECによるコーポレートガバナンス規制改革

橋口 達

要約

  1. 米国証券取引委員会(SEC)は、2021年にゲイリー・ゲンスラー委員長が就任して以来、コーポレートガバナンス関連の規制改革を矢継ぎ早に実施してきた。
  2. 投資家に係る規制改革としては、大量保有報告の強化、ファンドによる議決権行使の開示強化、株主提案の促進、議決権行使助言会社に係る規制緩和がある。他方、発行体に係る規制改革としては、役員報酬の開示強化、インサイダー取引規制の強化、自社株買いに係る開示強化がある。
  3. 民主党政権下の現在のSECは、共和党政権の時からスタンスを変え、総じて大企業に厳しく、ESG(環境・社会・ガバナンス)アジェンダに対して肯定的、というスタンスを採っている。発行体等への負担増と、透明性向上・競争促進による市場活性化との相克が今後の注目点となろう。