ESG/SDGs

ファンド投資家に議決権行使をパススルーするブラックロックのボーティング・チョイス

橋口 達

要約

  1. ブラックロックは2022年1月より、「ボーティング・チョイス」と呼ばれるプログラムを提供している。これは、ブラックロックのインデックス運用で投資する株式について、同社の機関投資家顧客が議決権行使の意思決定に参加できる選択肢を提供するものである。
  2. ブラックロックは、ボーティング・チョイス導入の背景に、近年、機関投資家における評価尺度が多様化する中で、議決権行使により積極的に関与することを望む投資家が増加していることを挙げている。同社は、最終的には、個人投資家を含めた全ての投資家がボーティング・チョイスを利用可能になることを目指している。
  3. 足元では、バンガード等も議決権行使を顧客投資家にパススルーする取り組みを開始している。こうした取り組みが普及していけば、個々のファンド投資家が議決権行使に直接関与するという、エンゲージメントの新たな経路となり得る。今後の動向が注目されよう。