時流

サステナビリティ情報の法定開示
-分析(Analysis)と統合(Synthesis)-

東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 松田 千恵子

要約

サステナビリティ情報の開示が、2023年3月31日以後に終了する事業年度から届け出される有価証券報告書及び有価証券届出書の記載事項の変更として義務化される。しかし、記載事項の内容についてはまだ十分に理解が深まっていないようにも思われる。また、要請されている事項について形式的な対応に留まってしまえば、企業と投資家との間の建設的な対話に資することも無いだろう。本稿では、義務化の内容を概観しつつ、開示情報をより分析(Analysis)する必要性、および企業の将来像として統合(Synthesis)してみる必要性のそれぞれについて考察する。