時流

気候変動及び脱プラスチックによる世界経済の変化

杏林大学総合政策学部 教授 斉藤 崇

要約

近年、気候変動や海洋プラスチック問題への関心の高まりを背景として、国内外でさまざまな取り組みが強化されてきている。こうした取り組みにおいて、欧州連合(EU)の存在が重要性を増してきている。EUの環境政策や関連する概念・ルールなどが、結果的にグローバルスタンダードになる状況も見られている。EUでは、環境政策を経済政策や産業政策として位置付けているところもあり、そうした総合的な観点からの取り組みが重要になってきている。気候変動や脱プラスチックへの取り組みを進めることは、化石燃料の利用のあり方を大きく変える可能性がある。そのことは、従来の産業構造や、世界経済及び国際貿易等にも、大きな変化をもたらしうるものであり、そうした世界経済の変化に向けた準備が必要となってきている。