時流

家計の証券投資は新たなステージへ

金融エコノミスト/西日本フィナンシャルホールディングス 取締役 宮本 佐知子

要約

2024年は家計の証券投資が新たなステージを迎えた年である。政府の「新しい資本主義実現会議」では、新しい少額投資非課税制度(NISA)を一つの契機に今後、家計の資産運用収入の倍増も見据えている。これを実現させ、成長と分配の好循環を安定させるためには、そのメカニズムの中に家計が主要プレーヤーとして参加していることが重要である。その中で家計が長期投資を実践できるように知識の面でサポートしていくことも今後の大事な論点である。これらの施策によって目指すべきことは、日本市場を単なるマネーゲームの場ではなく、企業の事業と理念に共感し長期にわたって経営を支えたいと考える株主が中心となった層の厚い市場にすることである。これは、世界の中での日本市場の魅力になる。