アセットマネジメント

米国SECによる公募ファンド開示規制の改革

橋口 達

要約

  1. 米国では、個人投資家にとっての利便性・わかりやすさの向上を企図した、公募ファンドの情報開示に係る規制改革が進展している。
  2. 米国証券取引委員会(SEC)が2022年10月に採択した規則は、ファンドの投資家報告書について、シリーズ/シェアクラス毎の作成・交付の義務化等により分量を大幅に削減した。同規則は、ファンド広告における手数料表示についても、表記法を標準化するなど厳格化した。
  3. SECが2023年9月に採択したファンド名称規則は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やグロース/バリューなどの名称を持つファンドに対しても、資産の80%以上をファンド名に冠した資産に投資するよう義務付けた。ESGについては、いわゆるグリーンウォッシングへの懸念が背景にある。
  4. いずれも個人投資家を念頭に置いた規制改革であるが、資産運用会社の負担増という側面もある。運用会社・販売会社のビジネス戦略や家計のファンド選択にどのような影響を及ぼすか、注視していきたい。