ESG/SDGs

デジタル・グリーンボンドの潮流と発展に向けた論点

江夏 あかね、橋口 達

要約

  1. 有価証券のデジタル化やグリーンファイナンスが進展する中、スペインの大手金融機関のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)が2019年2月、デジタルとグリーンという2つの要素に着目し、世界初となるデジタル・グリーンボンドを起債した。日本でも、日本取引所グループ(JPX)が国内初となるデジタル・グリーンボンドを2022年6月に発行して以降、いくつかの事例が出現している。
  2. 国際資本市場協会(ICMA)のデータベースによると、2024年4月末時点で、7つの発行体(11銘柄)のデジタル・グリーンボンドが発行されている。発行額が最も大きい発行体は香港政府である。日本の発行体数はJPX、日立製作所に、2024年5月に起債した丸井グループを加えると、国・地域別で最も多い。本稿では、BBVA、香港政府、JPX及び丸井グループを事例として取り上げたが、ICMAのグリーンボンド原則(GBP)等に適合する形で発行したという共通点がある。そして、香港政府やJPXは、デジタルボンドについて調査研究を行うなど、市場育成を意識した取り組みも行っている。
  3. これまでの発行事例や調査研究結果に基づくと、デジタル・グリーンボンドが発展していくための主な論点としては、(1)政府による支援、(2)デジタル・グリーンボンドに特化した情報開示/投資家向け広報(IR)の実施、(3)国際的な連携の模索、が挙げられる。

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