1. ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、87年10月のブラック・マンデー時に株式市場が混乱したことから、株価の大幅な下落が生じた場合に取引を一時的に停止する、サーキット・ブレーカーを導入した。この措置は、去る10月の香港市場における株価下落に端を発した世界的な株式市場の動揺に際して、初めて全面的に発動された。
2. サーキット・ブレーカー発動の基準となる株価の下落幅は、最近の株価上昇にもかかわらず、88年の制定当初に比べて大きく見直されていなかった。このため、下落率が比較的小さく、市場が落ち着いていたにもかかわらず取引が停止されたとして、市場関係者による批判が高まった。
3. NYSEは、こうした批判を受け、サーキット・ブレーカーの内容の見直しに着手した。新しいルールは、前日終値からの下落率が10%、20%に達した段階で取引を停止する(但し、具体的な下落幅は年1回決定)という内容になる見込みである。実現すれば、サーキット・ブレーカー発動の基準となる下落幅は、現在の約2.2倍となる。しかし、この大幅な改定は来年2月以降に先送りされ、当面は、取引終了近くにおける発動に制約を加えるだけにとどまった。
|