1. 近年、取引所市場などの通常取引時間帯以外での株式取引をめぐる議論が盛んになっている。わが国においても、2000年7月に東京証券取引所が「夜間取引市場に関するワーキング・グループ」を設置するなど、本格的な検討が始められた。
2. 米国においても、1999年6月以降、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック市場が取引時間延長を検討し始めるなど、夜間取引をめぐる議論が盛んである。10月には時間外取引に関する問題点や対処方法についての報告書が出され、2000年6月には、SEC市場規制局が夜間取引の実態に関する報告書を議会に提出した。
3. SECの報告書によれば、NYSE上場銘柄、ナスダック銘柄の時間外取引出来高は、一日の売買高の3%程度にとどまっている。また、時間外取引のほとんどは、午後4時の取引終了時から4時15分までに集中している。午後5時半以降の取引高は、NYSEの場合、一日の出来高の0.03%、ナスダックの場合でも、0.09%に過ぎない。
4. 一方、時間外取引においては、取引銘柄の偏り、大幅な価格変動、取引費用の増大などの問題点が生じていることが指摘されている。
わが国においても、三井物産の夜間取引ECN構想や日本相互証券による時間外取引PTSなどが現れている。しかし、米国の例を見ても、夜間取引に対して真の「ニーズ」があるかどうかは疑問である。取引所市場や株式店頭市場における夜間取引については、投資家保護や市場の効率性の観点からも慎重な検討が求められよう。
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