1. 米国通貨監督庁(OCC)は2000年9月、「インターネット・バンキング:発展と展望」と題して、米国国法銀行のインターネット・バンキングへの取り組みに関するワーキング・レポートを作成、公表した。
2. 同レポートによれば、1999年第三四半期時点でインターネット・バンキングを提供している国法銀行は、調査対象となった2,517行のうち約20%に相当する464行存在し、当該銀行だけで国法銀行の資産総額の約90%を占めているという。
3. インターネット・バンキングを提供している銀行と提供していない銀行の財務データに基づいて経営指標の比較を行った結果、前者の方が、ROEや不良債権比率が良好であること、非金利収入比率が高くむしろ手数料ビジネスの強化のためにインターネット・バンキングを提供していること、等の統計結果が報告された。
4. また、2000年末までに、キャッシュ・マネジメント、保険商品の販売サービス等、大規模銀行を中心にインターネット・バンキングを介した付加価値サービスの提供が大幅に進展していくと予想し、市場の寡占化の可能性も示唆している。
5. 2001年初頭までにインターネット・バンキングを提供する銀行数は国法銀行総数の約45%、当該銀行で国法銀行資産総額の95%を占めるであろうと展望している。
6. インターネット・バンキングの提供がいまや常識となりつつある米国銀行業界では、インターネットの利用によって銀行の競争力を強化できるかという分析が進みつつあり、我が国銀行経営における示唆も多いものと思われる。
|