1. 米国企業年金(確定給付型)の最近の動向にみられる特徴として、(1)インデックス運用の拡大と(2)オルタナティブの投資対象への組み入れによる分散投資の進展の二つがあげられる。
2. インデックス運用についてはETFs(上場投資信託)の伸びが著しい。オルタナティブ投資は大手基金の間で採用が進み、2000年4月のテクノロジー株を中心とした相場の大幅下落の影響もほとんどみられない。運用スタイルが「バリューに回帰」するかどうかは見方が分かれている。
3. 資産運用業界に目を転ずると、アライアンスによるバーンスタインの買収など大型のM&A(合併・買収)が相次いだ。受託資産が上位の運用会社に集中する傾向が鮮明になってきているが、鳴り物入りで買収しても成功に至らない事例も出てきた。
4. 運用会社の年金基金へのアピールが重要となる中で、インベスター・フォース社など機関投資家と運用会社のニーズをマッチングさせる場をネット上で提供する「e-コンサルティング」サービスが注目を集めている。
5. 制度面では、IRA(個人退職勘定)の拠出額上限の引き上げや退職給付プランの拠出・給付上限の引き上げ等を盛り込んだ「包括的退職保障・年金改革法」が下院を通過した。9月に上院で審議される見通しであり、成立するかどうかが注目される。
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