1. 世界的な市場間競争の激化を受け、アジア太平洋地域の取引所(及び決済機関)では自己革新への取り組みが目立つようになっている。特に香港、シンガポール、オーストラリアでの動きが活発である。
2. グローバリゼーションの進展などにより、上場企業も流動的に動くようになりつつある。相対的に規模が小さいアジア太平洋地域の取引所の場合、少数の主要銘柄が市場全体に与えるインパクトが大きく、取引所の魅力を高めていかなければこれらの銘柄企業をつなぎ止められないという危機感がある。反面、有利で利便性の高い市場に企業も投資家も流れていくという期待もあり、上記の3取引所(特に香港)はアジア太平洋地域のハブ市場の地位を狙っている。
3. 取引所の自己革新には、1)商品・サービスの多様化、2)クロスボーダー・リンク、3)市場インフラの高度化、4)取引所の合併、株式会社化等組織面での改正などの、様々な取り組みが見られる。
4. クロスボーダー・リンクについては、個々の国々それぞれ相互の取り組み以外にも、多対多の関係の中で効率的なリンクのあり方を模索するような動きも始まった。
5. これらの取引所の取り組みが、今後の更なる市場間競争激化の流れの中でどのような実を結ぶかは、今後の展開が注目されよう。
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