1. 2000年5月23日、証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律が国会で成立した。この法律は、証券取引所や金融先物取引所の形態を会員組織に限定する従来の規制を改め、株式会社形態の取引所を容認するものである。
2. 世界的規模で証券取引所、私設電子取引システム(PTSあるいはATS)による市場間競争が激化する中で、多くの証券取引所が、非営利の会員組織から営利を目的とする公開株式会社組織への転換を進めている。株式会社化による運営の効率化や資金調達の多様化といった効果が期待されている。
3. 今回の法改正では、株式会社形態での証券取引所設立が可能となったが、取引所に対しては、厳しい業務範囲の制限(取引所有価証券市場の開設及びこれに附帯する業務に限定)が課されるほか、取引参加者に対する自主規制機能の発揮などが要求されている。単一株主による取引所株式保有の制限(5%まで)や取引所株式の自市場への上場に関する承認制度などの規制も設けられた。
4. 組織変更に関する規定が整備されたことで、今後、既存の会員制取引所が株式会社形態への組織変更を進めることも予想される。
5. 今回の法改正は前向きに評価することができる。しかし、PTS規制との関係では、「競売買」など特定の価格決定方式を採用する場合にはPTSとしての認可が得られないことが明確にされるなど、問題もある。価格決定方式のみに着目して取引所、PTS、一般の証券仲介業務を区別する考え方には疑問が残る。
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