1. 個別株先物が注目を集めている。英国のロンドン国際金融先物取引所が2001年1月から取引を開始したほか、新たに導入する取引所が相次いでいる。米国では、これまで個別株先物取引が禁止されていたが、2000年末に成立した商品先物近代化法により解禁され、2001年末には本格的に取引が開始する予定である。わが国でも、大阪証券取引所が7月に発表した「大証の戦略を考える会」の最終報告書で、新商品開発の候補として取り上げている。
2. 個別株先物取引の経済的効果は信用取引と類似しているが、(1)信用取引ではその注文を受ける証券会社と顧客の間に貸借関係が生じるのに対し、先物取引では生じない(したがって金利コストにも差が生じる)、(2)信用取引はあくまでも普通取引として現物市場で執行されるのに対し、個別株先物取引は別個の市場で取引きされる、(3)証拠金率の違いによってレバレッジ効果に差が出る、(4)わが国固有の事情として、税制上の取扱いが異なる、といった違いがある。
3. これまでに個別株先物取引を導入した海外の取引所では、あまり活発に取引されている例はない。今年末に取引が開始すると見られる米国での動向が注目されるが、わが国には信用取引制度が整っているという海外諸国とは異なる事情があることに留意する必要がある。
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