1. 香港政府は1998年8月に、投機筋に対抗するため為替基金を通して大規模な株式買い介入を実施した。従来より『積極的不介入政策』を標榜してきた香港政府であるが、今回の介入は、カレンシー・ボード制を防御することが目的であった。
2. 香港政府が保有することになった大量の株式を管理する機関としてEFILが設立され、マーケットへの放出方法が検討された。
3. EFILでは、上場投資信託を通して、保有株式を株式市場に戻す手法がマーケットインパクトを最小に抑えることができると考え、トラッカー・ファンドの組成にふみきった。
4. トラッカー・ファンドは、現物株式ポートフォリオを拠出することによって追加設定できるほか、キャッシュによる追加設定も可能である。キャッシュによるケースでは、トラッカー・ファンド特有のタップ・ファシリティのメカニズムを通して、通貨基金から株式を取得し、追加設定を行う仕組みになっている。
5. わが国でも、2000年6月24日に、金融庁が示した「銀行保有株式取得機構(仮称)」の設立構想の中で、取得機構の株式買取方法としてETFの組成が提案されており、香港のトラッカー・ファンドの組成は、株式の処分方法を考える上で何らかの参考になると思われる。
|