1. 米国の大手金融機関は、アカウント・アグリゲーションと呼ばれる、口座情報の集約サービスを相次いで導入している。アカウント・アグリゲーションとは、消費者が持つ複数の金融取引口座の情報や携帯電話の利用料、航空会社のマイルなどを、ウェブや携帯電話などの一画面上に一覧表示するサービスである。
2. 金融機関がアグリゲーションを積極導入している主な理由としては、第一に金融ポータルにおけるアグリゲーション導入への対抗策が求められたこと、第二に金融機関自身において顧客の維持深耕に役立つことが期待されることがあげられる。
3. 一方、法的な枠組みが無いままに実用化されてきたアグリゲーションには、セキュリティやプライバシー、ベンダと金融機関の間の関係、消費者への説明などに不安の声も少なくない。それに対処するため、米銀を主体とした業界団体が自主ガイドライン案の策定を進めており、サービスへの信頼感向上と普及拡大への寄与が期待されている。
4. わが国においては、インターネット金融サービスがまだ揺籃期にあり、金融以外の口座情報提供も少ない。アグリゲーションを活用する場としては、例えば、提携関係にある金融機関やグループ金融機関による、ウェブ上での統合サービス提供が一つの選択肢として考えられる。
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