1. 我が国の株式オプション市場(いわゆる個別株オプション市場)は97年の市場開設以来、取引が低迷している。99年の取引代金を米国の株式オプション市場の取引代金と比較すると、およそ1,000分の1に過ぎない。特に、当初期待されていた個人投資家による取引参加は今のところほとんど見られない。
2. 一方、73年に取引が開始された米国株式オプション市場は新たな成長期を迎えている。2000年は9月末時点で、過去最高を記録した1999年の年間取引高を早くも上回り、10月には月間で過去最高となる7,008万件の取引高を記録した。
3. 米国株式オプション市場の拡大の背景には、(1)現物株式市場における取引がここ数年大変活発で、売買高が大きく伸びていたこと、(2)個人投資家の積極参加とインターネットの利用、(3)取引高の多い銘柄が複数のオプション市場に重複上場されるようになり、各取引所で扱う銘柄が増えたことや、効率的かつ公正な株式オプション市場の構築のために、規則の改正や市場間のリンクなどが進められていることなどが挙げられる。
4. 我が国株式オプション市場により多くの個人投資家を呼び込み、市場を活性化させるには、オプションの課税制度の見直しが求められる。現行税制では、個人投資家がオプションを反対売買又は権利放棄した(された)場合、そこから生じた損益は所得税法上雑所得として総合課税の対象となるため、分離方式で課税される株式の譲渡益と、オプション取引から生じた損失を損益通算することができない。
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