1. 2000年11月、EU証券市場規制(投資サービス指令:Investment Services Directive)の改正に関する三つの文書が発表された。欧州委員会がISDの改正事項を提案したコミュニケーションが二つと、ISDの改正を迅速に実施するための手続きを検討している賢人委員会(the Committee of Wise Men)の中間報告書である。2001年3月以降、今回の提案をベースとした正式な提案が発表される予定である。
2. ISDの改正は、EUで現在進められている金融市場規制改革の検討課題の一つであり、EU域内でのクロスボーダー取引を妨げる制度上の問題を取り除き、EU証券市場の統合を深化させるために必要だとされている。
3. 欧州委員会が提案したISDの改正事項は、(1)ISD 11条のビジネス行動規範の適用方法、(2)単一免許(single passport)におけるATSの取扱いと単一免許の対象となる業務の範囲、(3)規制市場(regulated market)に対する規制の見直し、と(4)清算・決済システムの統合問題である。規制市場に関する検討事項には、株式会社化した取引所の上場機能や市場集中条項(ISD 14条3項)の見直し等が含まれる。
4. 賢人委員会は、ISDの改正を迅速に実施する方法として、4段階の立法手続きを提案した。その内容は、指令や規則で基本方針を制定し、それを実施するためのテクニカルな規則を欧州委員会と加盟国代表で構成されるEU証券委員会(EU Securities Committee)が制定するというものである。
|