1. 最近、半期のディスクロージャー制度を設けている海外諸国で、米国のような四半期開示制度を導入しようとする動きが見られる。
2. 欧州では、ドイツやフランスの証券取引所が積極的に四半期開示制度を採り入れており、欧州委員会もEU統一の制度として四半期開示を採用することを検討している。アジアでも、マレーシアや中国に加えて、シンガポールが2003年から四半期開示制度を開始することを決めており、2002年1月には香港証券取引所が全上場会社に四半期開示を義務付けることを提案している。
3. 四半期開示制度は、半期開示制度よりもタイムリーに財務情報が開示されて投資家保護につながること、発行会社も経営の透明性が高まることで投資家の信頼を得られること等がメリットとされる。その一方で、発行会社のコストが問題となる。
4. 諸外国で既に導入されている四半期開示制度では、投資家にとっての情報の有用性に鑑み、連結損益計算書と連結貸借対照表が基本となっている。また、発行会社の負担を軽減するために、その開示項目は半期報告書と比べて簡素化されている。
5. わが国でも、新興企業向け市場で四半期開示が制度化されている他、自主的に四半期開示を行う企業が出てきている。今後、わが国で四半期開示制度の導入が検討される場合、最近の諸外国での導入過程における議論には参考とすべき点が多い。
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