1. 米国では、80年代の終わり頃から、ダッチ・オークション方式の自社株公開買付が自社株買いの手法の1つとして定着していて、年間20〜35件程度実施される。
2. ダッチ・オークション方式の自社株公開買付では、買付者が買付価格の範囲を定め、その範囲内で応募株主が売却価格を提示する。
3. この方式では、買付価格が上昇するに従って株主からの累積応募株数が増加するという右上がりの供給曲線を利用する。それにより、買付価格を予め一義的に定める一定価格方式よりも、買付予定株数と応募株数が一致する、買付者にとって最も望ましい価格で買い付けられる可能性が高くなる。
4. 実証分析によれば、一定価格方式よりもダッチ・オークション方式を選択した方が、買付予定株数をより低いプレミアムで買い付けることができている。また、発行済み株式数に対する買付株数の比率は、ダッチ・オークション方式の方がやや低い。
5. ダッチ・オークション方式の自社株公開買付の活用目的は、余剰キャッシュの株主還元や資本構成の調整など多岐に渡ると考えられる。
6. わが国では、ダッチ・オークション方式の自社株公開買付が実施された実績はないが、今後自社株公開買付の用途が拡大すれば、その採用も検討されうる。
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