1. 英国では、上場会社のコーポレート・ガバナンスの望ましいモデルが、統合規範(the Combined Code)に示されている。統合規範は、会社と機関投資家である株主が遵守すべきコーポレート・ガバナンスの原則とベスト・プラクティス(最善の行為規範)を定めたもので、上場会社に対する開示規則に取り入れられている。
2. 英国政府は、米国企業エンロンの経営破たんを契機として、統合規範の見直しを進めてきた。その結果として、統合規範の作成を担当する財務報告委員会(FRC)が、2003年7月23日、統合規範を改訂し、公表した。
3. 主な改正内容は、(1)取締役会における独立非執行取締役の割合を少なくとも半数に引き上げ、(3)独立非執行取締役の定義化、(3)指名委員会の設置、(4)非執行取締役の兼職および任期の制限、(3)監査委員会の役割強化、(4)株主と取締役会議長の対話の義務付け、などである。
4. 改訂統合規範は、株主である機関投資家に対しても、会社との対話を積極的に行うよう求めている。年金基金や運用機関が参加する機関株主委員会が2002年10月に策定した「機関株主およびその代理人(投資マネジャーや議決権行使サービス会社)の責任に関する原則」の遵守も呼びかけられている。
5. ロンドン証券取引所の英国上場会社は、2003年11月1日以降開始する事業年度から新しい統合規範に基づくガバナンス情報の開示をすることになる。わが国上場会社もコーポレート・ガバナンスの開示の充実を求められているが、統合規範のような基準がない中で、英国企業の開示は十分参考になると思われる。
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