1. 米国の住宅ローン市場が拡大している。住宅ローンの貸出市場を見ると、モーゲージ・カンパニーが最大の貸し手として台頭している。住宅ローン・ビジネスに取り組む金融機関も銀行や貯蓄金融機関等に加え、オンライン業者や証券会社にも広がっている。住宅ローン商品の多様化も見られている。
2. 金融機関の住宅ローン・ビジネスへの取り組みは必ずしも一様ではない。商業銀行では、大手銀行では住宅ローン・ビジネスの拡大が見られるが、中小銀行ではむしろ縮小傾向が見られる。その背景には、大手銀行の総合金融機関化に伴う市場シェアの上昇、大手と中堅中小の証券化への取り組みの違い等の理由を指摘できる。大手と中堅中小との格差の拡大は貯蓄金融機関についても見られる。一方、クレジット・ユニオンが台頭している。その背景には、非営利団体であるために税制優遇措置を受けていることを指摘できる。
3. 米国の住宅ローン市場は拡大しているが、ここに来て、住宅ローンの延滞比率や抵当流れ比率も上昇しており信用リスクへの懸念も拡がっている。今後の動向によっては、民間金融機関の貸出姿勢が慎重化していく可能性もある。
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