1. 2002年11月19日、EU委員会は、1993年に制定された投資サービス指令(ISD)の改正案を発表した。ISDは、EU域内における証券業者や証券取引所のサービス提供の自由を規定しており、EUの証券市場規制に関する基本法とも言うべきものである。
2. 改正案の狙いは、(1)各国国内法の調査を促進して投資サービス業者に対するEU共通パスポートの実効性を高めること、(2)電子取引システムなど、現行ISD制定後に登場したビジネスを規制に取り込むこと、(3)証券取引所が運営する「規制市場」への市場集中を見直すこと、(4)各国当局の協力関係を促進すること、などである。
3. 改正案では、欧州証券委員会(ESC)に詳細な規則の作成を委任する委員会手続き(コミトロジー)の活用も強調されており、市場の実態に即した規制を確立することを目指している。
4. 具体的な規定の内容では、現行ISDでは全く触れられていない電子取引システム(改正案ではMTFと呼ぶ)に関するものが注目される。取引所が運営する「規制市場」とMTFとの違いが強調された内容となっている。
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