1. 2003年来、韓国が掲げている北東アジア金融ハブ構想は、ここにきて韓国投資公社(KIC)の設立や、2010年までの為替取引完全自由化発表等、具体性を帯び始めている。
2. その一方で、巨額の利益を上げた外資系投資ファンドへの税務調査・追徴課税や、国家均等発展法(2003年)に基づく金融機能の地方への分散等、金融ハブ構築の足枷とも取られかねないような政策が散見されている。
3. 国内主体のみならず、国外からも資金の供給者、需要者、仲介者が自由に参加できる「場」としてのハブを発展させてゆくには、為替・資本取引の自由度、税制、オフィス賃料、人件費等のコスト要因、法律・会計等の金融付随サービスへのアクセス、政治・社会リスクといった点が考慮されなければならない。
4. 香港・シンガポール両市場はそうした要件を相当程度満たしている一方で、韓国が今後ハブとしての機能を発揮していくには、ハブのコンセプトの精緻化および具体的施策の構築、為替取引完全自由化の完遂、国際標準を満たす専門家の育成、英語力の向上等々、課題は多い。
5. 域内金融ハブは必ずしもひとつである必要はなく、シンガポール市場が香港から見てニッチともいえる分野に注力しているように、韓国にとっても、強みを持つ分野に特化したハブ構築の方向性自体は有効と思われる。
6. 今後はこれに湾岸諸国のイスラム金融ハブを目指す市場なども交え、内外資金の取り込みを巡る攻防はますます活発になってくるものと思われる。
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