1. タイでは1997年のアジア通貨危機が自国発であったこともあり、その後の為替・資本取引の監視にはことのほか神経を尖らせているが、その一方ではアジア債券市場育成の旗振り役として、率先して規制緩和やインフラ整備を通じた債券発行・債券投資の促進に努めている。
2. 当局にとっては、投機性資金の動向を睨みながら断続的に為替規制(またはその緩和)を発動してゆく一方で、域内債券市場育成の気運をくじくことのないよう、債券発行・債券投資の部分にフォーカスした規制緩和を併用するという、政策運営のバランスが求められている。
3. 債券市場の流動性が向上し、これを対象とした域内、ひいては域外からの資金流入が増加することを前提とするならば、債券市場そのものが投機対象の一部となる可能性も完全には排除できず、将来的にはこれも踏まえた監視体制の強化が必要となろう。
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