1. 2004年11月29日、中国の国有企業を親会社に持ちシンガポールに本拠を置く中国航空油料集団(China Aviation Oil)が、原油のデリバティブ取引により約5.5億ドルの損失が発生していることを公表した。同日、シンガポール取引所は同社株式の取引を停止した。
2. 同社は優良なコーポレート・ガバナンス体制を持ち、高い収益性を有するとされ、投資家からシンガポール市場における優良銘柄と見られてきた。しかし、今回の一件により資産を殆ど失ったと報じられ、損失を事前に知った親会社によるインサイダー取引の疑いも持たれている。
3. シンガポール市場はその競争力強化の一環で、海外企業の上場誘致等を積極的に行ってきた。今回のスキャンダルによる市場の動揺は小さくないが、政府関係者は適切な処置による信頼回復を強調しており、今後の動向が注視される。
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