あまり認識されていないが、年金を除く子育て・医療・介護など多くの社会保障施策は地方自治体によって提供されている。
その際、世代間・地域間で偏りがない全国統一的な大きなセーフティネット(国の制度)を提供するだけでなく、地域の実情や個人の事情を踏まえた柔軟性を持ったきめ細かなセーフティネット(地方単独事業)も提供し、この二つのセーフティネットを組み合わせることによって、住民に満足度の高い社会保障サービスを提供しようとしている。平成22年12月の社会保障に関する有識者検討会報告(座長 宮本太郎北大教授(当時))でも、「国民一人ひとりに包括的な支援をおこなうという社会保障の考え方からすれば、国民に身近なところでサービスを設計し、実行する地方自治体の役割は極めて重要である」とされている。