基軸通貨ドル体制は、ドルを基軸通貨とするゲームのルールを基本としていたブレトンウッズ体制が1971年のニクソンショックによって崩壊し、その後は、民間経済主体が決済通貨や契約通貨を原則的には自由に選択できる「ルールなしの制度」に変質した。そのような中で、1999年にユーロが誕生してからは、ユーロ圏のみならず、欧州及びその周辺地域における地域の基軸通貨としてユーロが発展しつつある。しかしながら、財政規律に欠け、さらに、最後は救われるであろうというモラルハザードを起こしているギリシャをその通貨同盟に加盟させたことによって、ユーロ圏が揺れている。もしそのような混乱がなければ、ユーロは、地域の基軸通貨からドルと肩を並べる世界の基軸通貨に発展する可能性を含んでいたかもしれない。