1. 我が国の個人の金融資産選択行動を見ると、98年第2四半期の金融資産残高は、前年同期比1.3%の伸び、金融負債残高は同0.4%の伸びに留まっている。超低金利時代の長期化、金融機関の経営破たんの表面化などから、積極的な金融資産積み増しに動きにくい個人の姿が浮き彫りになった。
2. 7〜9月期における、都市銀行預金からの資金流出傾向が鮮明になるなかで、各都銀は、従来の預金中心から、投信を中核商品とした金融資産保護預かり型のリテール戦略に重点を移す動きが目立っている。こうした動きは、ビッグバンの本格化前後から始まった、預金の新商品の相次ぐ導入、個人ローン専門店配置の動きなどに加えた、新たな特徴として挙げられる。
3. 具体的には、ポイントサービス、財産管理総合口座、テレフォンバンキングなどのサービスを充実させており、このようなサービスは、金融取引を可能な限り、一つの金融機関に絞りたいと考える個人のニーズにも合致している。
4. 現在、個人の資金を大量に吸収している郵貯の定期貯金の有利性が99年1月からなくなることもあり、今後の個人資金のゆくえが注目される。
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