98年1〜5月までの個人貯蓄動向の特徴の一つとして、郵便貯金、とりわけ定期貯金の純増傾向が続いている点が指摘出来る。同商品は、97年に入って以降毎月順調に残高を伸ばしており、4月には6,300億円強の資金が流入した。定期貯金の類似商品として、都市銀行などの民間金融機関が取り扱うスーパー定期が存在するが、同定期は、98年1〜5月に、4,400億円あまりの資金が流出しており、2兆2,329億円の資金が流入している定期貯金と対照的な動きをしている。
この背景には、個人が安全性を重視する資産選択を行っていることに加え、定期貯金の利息の計算方法が、スーパー定期より有利な体系にあることが挙げられる。定期貯金の有利性は、ボーナス時を中心に、各種マネー雑誌に紹介されており、同商品の純増は、これらの雑誌による影響が大きい、と考えられる。超低金利が長期化するなかで、個人の有利な運用への関心が高まっていることの一つの証左と言えよう。
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