1. 97年秋以降、日本市場は、三つの信用収縮が顕著となる未曾有の事態に陥っている。先延ばしにしてきたバブルの清算に、正面から取り組まざるを得ない時が来たのである。危機脱出のための三つの方策が用意されつつある。
2. 危機は深刻であるが、管理通貨制度が導入された今日の経済システムにおいて、1930年代の大恐慌のような事態は想定しにくい。電子商取引の分野のように、高度成長時代に突入しているセクターもある。むしろ重要なのは、マクロの変化よりも、個々の企業、業態が置かれた、構造変化の影響である。
3. 構造変化の時代において、金融機関が特に意識すべきことは、いかなる新商品、新サービスよりも、現段階では信頼の回復ということであろう。
4. 国家にとっても信頼の維持が重要である。安易な預金者、投資者救済を続けていては、将来的に国家の信頼が揺らぎかねない点に注意が必要である。
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