1. 英国金融サービス庁(FSA)は2002年10月21日、株式の空売りが最近の株価下落に拍車をかけているのではないかと懸念する声に対応し、空売りの透明性を高める6つの規則案を含むディスカッション・ペーパーを公表した。
2. 英国の金融規制当局は従来から、空売りをマーケットに流動性を提供する合法的な投資行為として捉えており、英国では空売りに対する制約は基本的には存在しない。また、米国を中心に導入されている直近の出来値よりも低い価格での空売りを禁止する規制もない。FSAが価格規制の導入に対して懐疑的な見方をしている背景には、(1)価格規制を導入すれば、同規制を導入すべきでない市場参加者(マーケット・メーカーなど)も存在するため、例外規定を設定せざるを得ず、規定が複雑化すること、(2)価格規制が株価のボラティリティを抑制したり、株価の下落スピードを落としたりしていることの証を見出しにくいこと、の2点がある。
3. 今回のディスカッション・ペーパーでも、FSAは空売りを直接的に統制することによって市場に対する信頼を高めることは出来ないと判断したが、同時に不透明な空売りが市場関係者の懸念材料になっていることをふまえ、空売りの透明性を高めるための施策案として6つのオプションを発表した。
4. 今後は2003年1月31日までパブリック・コメントを受け付けたうえで、2003年の晩春にも同コメントを踏まえたFSAの方針が発表される予定である。
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