1. 米国では、銀行の合併・買収が再び活発化しつつある。その狙いは、持続的な成長力を確保することであり、上位行同士の大型合併や、ウェルス・ファーゴによるストロング(投資信託会社)の買収に代表されるような、異業種ビジネスを取り込む動きが見られる。
2. ウェルス・ファーゴは伝統的に、統合に伴う軋轢をコントロールしやすく、買収プレミアムが高すぎない、小型の買収を繰り返すことで知られている。ストロング社の場合も、投資信託の短期売買問題が発覚して、顧客資産の流出に悩まされているところであった。
3. 今回の買収は、ウェルス・ファーゴの業績に、即座に大きな影響を与える訳ではないようである。ただ、同社は長期的には、異業種からの収益を、全収益の25%にしたいと述べており、目標に一歩近づいたことは間違いない。また、5,900の店舗をはじめとする投資信託の販売チャネルを既に持つ同社は、「クロス・セルの王者」としても知られており、いかにしてその手腕を発揮していくのかが、注目されている。
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