1. わが国のシンジケートローン市場の拡大が続いている。昨今は、「高流動性シンジケートローン」も登場し、今後、流通市場の拡大も期待される。
2. 米国においても過去10年、シンジケートローンの新規組成も流通市場も拡大した。ローン債権の流動性が高まり、機関投資家の投資対象となるにつれ、ローンと証券の区別があいまいとなり、ローン取引が証券訴訟や証券規制の対象となる可能性が高まっているとの指摘もなされるようになっている。
3. 米国の過去の判例では、ローンか証券かは、ローンがどのように販売されたか等、経済的実態に則して判断されている。証券訴訟となった場合のリスクが大きいため、シンジケートローン取引においては、証券とみなされない工夫が必要とされる。また、インサイダー取引や利益相反の防止等への配慮も従来以上に注意が必要になっている。
4. 米国の議論は、ローンが証券とみなされることをリスクとみなし、これをいかに避けるかに焦点が当たっているが、本来であれば、ローンが過小規制されているのか証券が過剰規制されているのかという本質的な議論が望まれよう。
5. わが国における投資サービス法の議論でも、商品や取引の経済的実態に応じた最適な規制レベルが追及されることが期待される。
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