1. 米国のプライベート・バンクや証券会社は近年、自分の金融資産に占める自社株比率の高い経営幹部に対し、この自社株をいかに管理していくべきか、というアドバイスを充実させつつある。
2. 一般に、ポートフォリオに占める特定の銘柄の比率は5%を超えるべきでないというが、新規公開やストック・オプション等により、金融資産に占める自社株比率の高い経営者層が増えている。実際、平均的な経営者層の金融資産の34%は自社株が占めるとの調査もあり、このミスマッチから生じる問題にいかに対応していくかということに、関心が高まっているのである。
3. 金融機関は、このような企業経営者層に対し、「自社株管理サービス」の一環として、(1)資産保全サービス(プット・オプション等)、(2)流動性付与サービス(証券担保ローン、10b5-1プラン等)、(3)分散投資サービス(エクスチェンジ・ファンド等)を提供している。加えて、企業の経営幹部は、証券取引に大きな制約が設けられる内部者(インサイダー)でもあることが多いため、金融機関は、内部者の取引報告書等の提出支援サービス等も提供している。
4. ITバブルの崩壊後、自社株の大暴落が現実のものとなり、また企業改革法(サーベンス・オックスレー法)の制定等を経て、経営者層の投資行動が注目されるようになったことも、こうしたサービスに対するニーズの拡大を後押ししている。
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