わが国のローンの問題点
2006年度の民間銀行の平均貸出残高は、前年度比1.5%増と、1996年度以来、10年ぶりにプラスの伸びを記録した。貸出難に悩んでいたわが国の銀行セクターも、ようやく環境が好転してきたようである。ここで確認しなければならないのは、量的な回復のみならず、質的な改革が進展しているかどうかである。というのも、失われた15年をもたらした銀行の不良債権問題の背景には、後述するようなわが国のローン市場に係る各種の問題があったと考えられるからである。こうした問題を引き続き抱えた状況のままで、再びローンが増勢に転じていくのであれば、それはむしろ警戒すべきことなのである。
わが国のように銀行が金融仲介において大きな役割を占める経済では、ローン市場における問題は様々な経済主体の行動に影響を与え、資本市場にも歪みをもたらすものとなる。従ってローンのあり方は、わが国資本市場の発展を目指す立場からも注目していく必要がある。
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