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資本市場クォータリー 2010年冬号
中国の人民元建て貿易決済の導入と人民元の国際化
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関根 栄一
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- 米国のサブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融危機が深刻化する中で、2008年9月のリーマン・ショック以降、中国からの輸出金額や伸び率は2008年末から2009年初めにかけて大幅に悪化し、中国政府は輸出企業が直面する人民元為替レートの変動リスクを回避するための人民元建て貿易決済の導入を決定した。
- 香港では、2004年2月に人民元預金が導入され、2007年7月からは人民元建て債券の発行も解禁されている。このため、人民元建て貿易決済は、広東省・長江デルタ地区(上海市、江蘇省、浙江省)と香港・マカオ間の貿易取引に、2009年7月から先ずはテストとの位置付けで導入された。
- 人民元建て貿易取引に伴う人民元資金のクロスボーダー決済と清算には、(1)香港・マカオ地区のクリアリング銀行を通じて行うルートと、(2)国内エージェント(コルレス)銀行が海外参加銀行を代理することを通じて行うルートとがある。これらのルートを、香港との間で結ばれた人民元建て通貨スワップが支えている。大陸側のテスト企業として選定された計365社(うち外資182社)の中には、日系企業も10社入っている。
- 人民元建て貿易決済の量はまだ低調であり、その原因としてこれまで外貨建てで貿易業務を行ってきた発想からの転換が急には進まないことや香港サイドで人民元の運用手段がないことなどが指摘されている。その一方、大陸側にはテスト企業を拡大する動きもあり、既にテスト企業に選定された日系企業にも取引の実績が出始めている。
- 人民元建て貿易決済の導入は人民元の国際化につながる動きでもあり、国際化そのものは段階的に進められていくこととなろう。中国の為替・資本取引の自由化の水準は、日本の1970年前後に相当する。今後の中国の金融自由化は、海外の金融サービス業にとっても新たなビジネス機会となろう。当面は、人民元建て貿易決済の対象(地域・品目)の拡大や人民元建て通貨スワップの拡大といったシナリオに注目していく必要がある。
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