時流

コロナウイルスのパンデミックの教訓
-いま、BCPを見直せば、まだ間に合う国難災害-

関西大学特別任命教授・社会安全研究センター長 河田 惠昭

要約

首都直下地震などの国難災害に備えて、特に現代都市社会の各種ネットワークの被害軽減対策を、現在グローバルに進行中のパンデミック対策に重ねて、4つの視点から論じた。1つ目は、パンデミックは人流、物流ネットワーク上を新型コロナウイルスが拡散するが、国難災害ではさらに金融や情報ネットワーク被害も加わり、複合災害と連滝災害となるため、これらを抑制すること、2つ目は、事業継続計画(BCP)の有効性は、平常時の企業経営と密接に関係していること、3つ目は、特に金融システムは地震時の停電や水害時の長期湛水によって大きく被災し、長期化する危険があること、および4つ目は、デジタル変革(DX)も災害に弱く、リダンダンシーを高める、すなわち予備手段を準備する必要があることを示した。