1. 2000年3月17日に「証券投資信託及び証券投資法人に関する法律」の改正案が閣議決定された。今回の投信法の改正は、一連の投信制度改革からさらに一歩進んで、投資者から資金を集め市場で専門家が管理・運用する集団投資スキームについて、幅広い資産を対象に包括的なルールを創設し、商品別縦割り規制から機能別規制に転換しようというのが狙いである。
2. 法案に盛り込まれた主要な改正点は、(1)運用対象の拡大、(2)投資信託委託業者に関する規制(受託者責任の強化など)、(3)投信約款変更時の異議申立て制度の創設、(4)特定資産の受託者である信託銀行が自ら運用できる委託者非指図型投信制度(契約型投信の一類型)の創設、(5)投資法人(会社型投信)の負債調達手段(投資法人債など)の創設などである。
3. 運用対象の拡大は、主として有価証券への集合的投資手段とされてきた従来の我が国投信制度において、画期的な意義を有するものといえよう。すでに注目を集めている不動産投資信託のみならず、現行法では組成できなかった斬新な投信商品を開発しようとの動きも活発化するのではないかと考えられる。
4. 改正法案の施行については、2000年6月まで開催予定の通常国会で法案成立、政省令の策定などを経て同年秋の施行、という予測がなされていたが、政治的要因から先行きについて不透明感が強まっている。しかし、当法案を基本方向として、近い将来に予想される改革へ向けた検討が関連業界で始まるのではないかと思われる。
|