1. 米国投信業界では、90年代後半、投資家向けの情報開示をより効果的かつ効率的に行う方法が模索され、「投資家が実際に理解し、利用できる開示書類」を目指す一連の改革が次々と実行に移された。
2. まず、投信目論見書の簡易版であるファンド・プロフィールが、投信業界、一般投資家の多大な支持を得て導入された。2000年秋の時点では、当初の予想ほどは利用されていないようである。
3. 正式な投信目論見書も様式が改正された。冒頭に「リスク・リターン要約」が新設されると同時に、投資家にとって重要性が低いと判断された開示項目が削減された。また、投信を含む有価証券目論見書に「分かりやすい表現」を用いることが規制レベルで定められた。刷新された正式な目論見書に対する一般の評価は、「確かに読みやすくなった」と、極めて高い。
4. 書類の配布方法に関する改革も行われた。目論見書及び年次・半期報告書の送付は、一住所につき一部でよいとされた。例えば、家族で同じファンドに投資している場合などであるが、投信業界全体で年間数千万ドルのコスト削減が期待された。
5. 次なる課題という形で、年次・半期報告書の見直しの可能性が指摘されている。
6. 我が国では、2000年12月より全ての投資信託について目論見書の配布が開始されたが、米国投信業界の情報開示をめぐる改革の動向は参考になろう。
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