1. 欧州では、いかに効率的な証券決済システムを築くかをめぐって、様々な動きが展開されている。クリアストリーム、ユーロクリア、クレストの3つの証券決済機関(CSD)がその中心となっていたが、2002年7月4日、ユーロクリアとクレストの合併が発表された。
2. 合併により誕生する「新ユーロクリア」は決済件数・金額、保管証券残高ともに欧州最大のCSDとなる。合併に際して、ユーザーたる金融機関等による所有構造を貫徹しており、ドイツ証券取引所の完全子会社となったクリアストリームとのアプローチの違いが鮮明となった。
3. この合併が実現すれば、欧州の証券決済機関は「新ユーロクリア」とクリアストリームの2つに事実上集約されることになる。この体制が定着するのか、更なる統合に向かうまでの一過程なのか、注目される。
4. 一方、域内各国で異なる法規制の存在など、欧州連合(EU)レベルでの対応が必要とされる課題についても、議論が進められている。2002年5月には、欧州委員会から証券決済に関するコミュニケーションが出された。2002年末に、EUによる立法の必要性の有無など、この課題への取り組みの方向が示される予定である。
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