1. 政府の産業再生・雇用対策戦略本部「企業・産業再生に関する基本指針」に基づいて創設される産業再生機構の設立関連法とともに、産業活力再生特別措置法(産業再生法)の包括的な改正(2003年4月9日公布・施行)が注目を集めている。
2. 99年10月に施行された産業再生法は、持株会社設立の際に優遇税制を享受するなどの目的で頻繁に活用されてきたが、2001年以降、わが国の企業セクターにおける財務指標が再悪化へ向かう中で、過剰債務問題、過剰供給構造に対応すべく、包括的な改正が目指された。
3. 改正産業再生法は、従来通り過剰債務企業の事業再構築に支援措置を与えることに加えて、一部の産業における過剰供給構造問題に対応する中核的な施策としても位置づけられている点で、産業再生機構と一種の役割分担をしているといえる。
4. また、機動的な組織再編を可能にする商法・税法の特例措置が盛り込まれ、認定計画にしたがって合併や企業分割を行う際に、スピンオフやキャッシュアウトマージャーなども可能となる。その他、撤退や投資ファンドの買収による再生をも視野にいれた施策となっており、実効性を発揮できるかが注目される。
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