1. 米国401(k)プランでは、株価下落による資産残高減や、過大な自社株投資の問題への注目が高まる中で、従来の加入者教育の有効性が問われ始めている。加入者教育の重要性が再認識されると共に、いくつかの新しい試みが始まっている。
2. 一つは、「全ての加入者に対して自ら資産配分を行う投資家になることを求めるのは非現実的」という考え方に基づき、加入者が多様であることを前提に、異なるタイプには異なるアプローチで加入者教育を提供する動きである。
3. また、プランで提供される運用商品についても、資産配分は運用マネジャーに任せるライフサイクル型ファンドへの注目が高まっている。併せて、「自分で運用指図したい加入者向け」、「したくない加入者向け」といった形に、運用商品を階層的に提示する工夫もなされている。
4. 加入者の「どの運用商品に投資したらよいのか」という問いに答える、投資アドバイスへのニーズも高まっている。インターネット経由のアドバイス提供の限界が指摘される中、人間味を持たせ、使い勝手を良くする方法が模索されている。
5. わが国企業の退職給付制度における確定拠出年金の重要性が増す中、その成否を左右する加入者教育について、米国の試みから得られる示唆は貴重である。
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