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資本市場クォータリー 2008年夏号
社債市場の透明性をめぐる米国の議論 −TRACEの導入とその後の評価−
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小立 敬
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- 米国では、社債市場の透明性のあり方について他の国や地域に先駆けて議論が行われてきた。一般に市場の透明性とは、市場参加者がどれほどの価格情報を観察できるか、あるいは市場参加者の間で価格情報がどの程度行きわたっているかという問題を指す。
- かつての全米証券業協会(NASD)は、2002年7月に社債市場の透明性の向上を目的として、OTC市場で行われる取引に関する情報をリアル・タイムで一般に提供するTRACEを導入した。TRACEは社債の気配値など取引前の情報を入手することが難しいと考えられるリテール投資家に焦点をあて、公正な価格で社債取引が行えるよう取引後の情報を提供する仕組みである。
- 社債市場はディーラーの自己勘定取引によって成り立っており、リスクに見合った収益が得られなければビジネスの魅力はなくなる。このため、価格情報を一般に広めるTRACEの導入は、社債の流動性の低下を招くとして導入時にディーラーから大きな反発が示されていた。
- 現在、TRACEが導入されてからすでに6年が経過している。TRACE導入の影響としては、社債のスプレッド縮小が指摘されている。そして、TRACEそのものに対する評価については、肯定的な見方をする規制当局と概ね消極的あるいは否定的な捉え方をする市場参加者とで二つに分かれている。
- 米国の経験から読み取れることは、社債市場における透明性の議論は、リテール投資家の市場参加の程度、電子取引の発展という最近のマーケット・ストラクチャーの変化をどのように捉えるかが重要な論点となる。市場全体の透明性の観点に立てば、市場主導で取引前の透明性が確保されると、規制主導の取引後の透明性の重要性は相対的に低下するという関係が見出される。
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